渡り鳥古巣へ帰る:鈴木嘉彦先生のご退官

昨日は、前の職場の恩人、鈴木嘉彦先生の退官行事に出席するため、10年ぶりに山梨大学工学部を訪れた。鈴木先生は1998年に文理融合の新組織「循環システム工学科」を創設され、当時教育学部でほとんど腐り果てていた私を拾ってくださった。鈴木先生と、一緒に教育学部から移籍した理系の3人の先生方を含む10人の創立メンバー、またその後参加された先生方との3年間がなければ、私の6年間の山梨生活はほとんど暗黒だったといってよい。よく投げ出さず、心を壊しもしなかったものだ。理系の先生方の議論について行けるように、また唯一人の文系教員として幅広く社会科学を教えられるように、毎晩自然科学と経済学の本を読みあさった。よく理解できなくて、やけになって酒を飲んで寝たから、翌日の授業は宿酔で臭いことが多かっただろう。学科間の対立に巻き込まれ、別の学科の若手教員たちに非常階段に連れ出されてヤキを入れられたこともあった。でも、昨日久しぶりに鈴木先生の年来のご高説をうかがって、あらためて私はあの間鈴木先生に弟子入りしていたのだと思った。そこで学んだことが今どれほど多く自分の生きる手段になっているか。それに加えて、当時は正直自分の社会学のうちにうまく位置づけられなかった「循環システム」という概念を、少し深く考えられるようになったように思われる。鈴木先生からいただいた宿題として、今後も丁寧に考えていきたい。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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