ウチワエビの味噌汁:幼い頃の夢が叶う

幼稚園の頃の愛読書というか、とにかく熟読したのが小学館学習カラー百科シリーズ(旧)の『魚貝の図鑑』。今の図鑑類とちがって、監修が東大農学部水産学科教授の末広恭雄先生(応援歌「足音を高めよ」の作曲者、ウィッキーさんの先生)だけに、魚の使い方、食べ方にやたら詳しかった。マル食の可食マークだけでなく、「煮付けにして旨い」などとお勧めの調理法まで記してあった。読んで涎の出る図鑑・・・。商店街のうちの店の隣は魚屋、向かいは乾物屋だったので、興味はいや増しに。そんな私に魚屋の大将は「お母ちゃんに買うてもらい」と怒鳴ったが、母は山の手育ちなので、ゲテモノの魚は買ってくれなかった。それでも夏に、ポンプが入れられたタライで泥を吐いていたコチ(マゴチ)を買ってもらった記憶がある。だから上の子のお食い初めは、自分で下ろしたコチの刺身にした。

さて『魚貝の図鑑』の二大スターは、カニの仲間のアサヒガニとエビの仲間のウチワエビである。どちらも容貌「怪異」なのに「旨い」と書いてある。豊橋在住時代にはどちらもときどき近所のスーパー・サンヨネに出ていたが、いつでも買えると思って買わず、名古屋に越してからは全く目にしなくなった。その片方、ウチワエビをついに食べた!。

たぶん底引き網にかかってくる小さいヤツを二つ割りにしたものなので、身はほとんど味噌汁に溶けてしまっていて、身そのものの味はあまり分からなかったけれど、兄貴分のイエセビより旨いような気がした。汁自体はもちろん旨い。しかし何といっても、このユーモラスな容貌とつぶらな瞳。

食べたのは、新長崎漁港の市場内の「水産食堂」。なぜそんなところに、はまた次回に。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
カテゴリー: 見聞録, 食いしんぼう パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください