神保町東京堂書店の「軍艦」:朝日新聞の記事から

朝日新聞4月24日夕刊に神保町東京堂書店の紹介記事が載っている。1階に平積み棚で書架を取り囲んだコーナーがあり、本好きから「軍艦」と呼ばれているとのことだった。若い頃はよく東京堂書店に通ったが、たいていすぐにエスカレーターで専門書のある2階に上がってしまうので、知らなかった。あの頃は、勉強の本は東京堂、趣味の本は書泉グランデだった(芳賀書店じゃありません)。

読書家の先輩が(読書家でない先輩はいなかったが)、神保町なら東京堂と力説していたのを思い出す。この先輩、結婚するときに引っ越しを手伝ったら、下宿にほとんど本がなかったので、人手は私ひとりで済んだ。つまり本を買わずに勉強されていたのである。その先輩の大学の研究室を訪ねると、やはりあまり本がなかった。つい買えるだけ「積ん読」を増やして、同業者の連れ合いからつねに廃棄を迫られている私は、そうした先輩の慎ましやかな勉強の仕方に頭が下がる。その先輩が近頃書かれているものの中身に私はまったく同意できないが、その背後にある勉強の確かさを疑ったことはない。先輩は今も東京堂で書架を眺め、気に入った本を立ち読みされているのだろうか。

もう1つ思い出話を。ある時やはり2階で民俗学の棚を見ていたら隣に個性的な初老の男性が。私たちの世代なら知らないものはいないだろう、ウルトラマンシリーズの名脚本家佐々木守氏だった。佐々木守と民俗学、当たり前と言えば当たり前のつながりだが、でも佐々木氏にとっても、東京堂は大切な情報源だったのだろう。いい本屋とはそうした存在なのだろう。

ところでユーチューブ、1回ミラーマンを見ただけなのに、昔の特撮ばかりリコメンドしてくるのはやめてほしい。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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