ダースベイダーとスーパーマン:NHKETVクラシック音楽館を聴きながら

NHKETVの「クラシック音楽館」、ヴェネズエラ出身の指揮者G.ドゥダメルが指揮するロスアンジェルスフィルの演奏を途中から聴いた。途中からというのは、途中まで総合の方のNHKスペシャル「人体Ⅱ」を首をひねりながら見ていたからである。ゴミ(ジャンク)とか宝物(トレジャー)とか、世界をそうした目線でしか捉えられない幼稚さが実にバカバカしい。私たち社会学者の父祖、E.デュルケムが『社会学的方法の規準』で乗り越えたのは、まさにそうした幼稚さだった。

さて音楽館の方は、J.ウィリアムズの映画音楽プログラムで、フィナーレはもちろん「スター・ウォーズ」、アンコールは意外にも「スーパーマン」だった。意外にもと言ったのは、母国ヴェネズエラが「アメリカ帝国の逆襲」に曝されているときに、その「正義」の象徴である「スーパーマン」もないものだと思ったからだ。もちろん演奏会は3月21日だったから、その時点では合衆国大統領はダースベイダーではなくスーパーマンだったかもしれない。

どうせアメリカ音楽特集を組むなら、A.コープランドにしてほしかったな。異論はあろうが、私はコープランドは南北をつないだ汎アメリカ的な音楽を模索していたと思う。「アパラチアの春」とか、昔は中学の音楽の教科書にも載っていたのに、今聴かないな。一方のJ.ウィリアムズは、金管の響きはコープランドの真似だけれど、全体はまごうことなきグローバルな映画音楽だ。魔法使いだろうがゲイシャだろうが、宇宙戦争だろうが、皆同じである。安心だけれど退屈だ。

とはいえ、好きな「レイダース」になると、これはあのシーン、あれはこのシーン、とうるさくなって、子どもに嫌がられた。子どもに言わせれば、「大きな石が転がってくる映画でしょう」だって。それ最初のシーンだよ、そこから先はつまらなかったの!?

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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1 Response to ダースベイダーとスーパーマン:NHKETVクラシック音楽館を聴きながら

  1. 中筋 直哉 のコメント:

    スーパーマンについては、遠藤徹『スーパーマンの誕生』(2017、新評論)が面白いです。また私のブログ『群衆の居場所』の過去記事「個人として生きることの『革命』」(2016年8月26日)もご覧ください。

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