冥府の入口まで行ってきた:六道珍皇寺の篁の井戸

冥府の入口まで行ってきた。といっても本当に死にかけたわけではなく、京都六波羅の六道珍皇寺にある、小野篁(おののたかむら)が冥府通いをしたという井戸を見てきたのである。アエネイスか小野篁か?寺内には、何と小野篁作(?)の閻魔大王の木像もある。帰ってきて子どもに話したら、「それ『鬼灯の冷徹』(マンガ)に出てたよ」だって。

「平日から何遊んでんねん」などと言わないでください。私が1994年に専修大学文学部ではじめて「社会史」という授業を担当させてもらったとき、国宝『一遍聖絵』を題材に使ったのだった。当時は日本中世史の大家の五味文彦氏と黒田日出男氏が中世絵巻の読み方をめぐって華々しく論争していた。そのうえ、『一遍聖絵』の最終巻に描かれた上人入定の地は、私の郷里なのだ。その『一遍聖絵』が京都国立博物館に全巻出るというので、勇んで見に行ったのである。さらに何と『洛中洛外図屏風舟木本』(国宝)も。これも黒田先生の絵解きがスリリング。右隻の中心、五条橋の上で踊っている老女は、何と。続きは本でね。

展覧会も堪能でき、若い頃の野心を思い出して懐かしくもなった後、前に高台寺の呈茶で食べた薯蕷饅頭の味が忘れられなくて、六波羅の店まで買いに行った。ところがあいにく臨時休業、かわりに至近の六道珍皇寺を訪ねてみたのである。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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