アンケート調査の調査票の作り方

「社会調査法」第3回、「アンケート調査の調査票の作り方」をはじめます。はい、配ったプリントを見てください。これは某、私が住んでいる町の役場がやっている市政アンケートです。気がついたことを自由に指摘してください。

はい、先生。第6問で、「あなたが、紙製容器包装でないのに紙製容器包装として分別しているものはどれですか」というのは、何かテストみたいで嫌な感じです。

そうですね。アンケート調査はテストではないので、対象者が間違った行為をしていることを指弾するような質問はよくないですね。でも「テストみたい」というのは言い得て妙ですね。インタビュー調査の権威、桜井厚先生は、あるとき調査対象者から「警察の尋問みたい」と言われて打ちのめされたそうですが(『インタビューの社会学』,2002,せりか書房)、それと好対照をなす言葉だと思います。「尋問でもテストでもない調査」、私たちプロも心しなければならないです。ちなみに私はアンケートは手紙だと思っています。

はい、先生。第10問と11問の間に、町のキャラクターのギャグっぽい絵が入っているのは、何の意味があるんでしょう。

これは、いいアイデアだと思いますよ。だんだん回答者がダレてくるところで、クスッと笑わせて、リフレッシュさせるわけですね。でも、「不真面目だ」と、逆ギレされるおそれも十分ありますね。

はい、先生。第14問で、町の政策がしつこく説明してあって、「あなたはこの政策を評価しますか」というのは、何か、同意を強制されているようで嫌な感じなんですが。

そうですね。作者は政策評価を意図しているのでしょうが、実態を聞く調査と評価を聞く調査を混交させてはいけませんね。なお、この手の政策をしつこく説明して評価を強要するのは、霞ヶ関のお得意の手なので、たぶん町はそれを真似たのだと思います。昔外務省が時の総理や外務大臣の外交を仰々しく誉めた上で、「評価しますか」とやってマスコミに叩かれたことがありますね。外務省なんてアンケート調査の柄じゃないです。そもそも80年代の東大は統計は二次試験の範囲じゃなかったですからね。

キーンコンカーンコン

それでは今日の授業を終わります。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
カテゴリー: 私の仕事, 見聞録 パーマリンク

2 Responses to アンケート調査の調査票の作り方

  1. かほう鳥 のコメント:

     こんにちは かほう鳥です。調査…訪問対面、何も知らない初出陣。
    美人グループの子たちは訪問先でスイカや麦茶を頂き、そうでない子達はそれなりにこなして・・・ダサ組は、お願いと説明に時間がかかり集合時刻と件数がギリギリ。もう、ン十年前の話。
     事前に役場か地区から告知済みと教えられた。当日も有線放送があったような気がする。 ”この地区の良さを学びに調査の為に女子学生が数十名来てる!協力しても罰はない。御縁があったら嫁候補ですよ~!”なあんて言われる訳なかったけど、親や村の立場ならアリだと。
     フェイスtoフェイスの調査って有機的な?文章の行間的な?何かを結構含んでると思う。ちょこっとだけ文学的なのかもしれない。

  2. 中筋 直哉 のコメント:

    かほう鳥さん、コメントありがとうございます。学生時代の調査実習、私も思い出します。文学的、私は社会学はそうでなくっちゃと思っています。一応「文学士」ですから。

かほう鳥 にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください