特急車の窓は開きませんよ:黒澤明『天国と地獄』再見

月曜夜10時ETVは『グレーテルのかまど』、今日のお題は「横浜ホテルニューグランドのプリンアラモード」。うーん、プリンか・・・。それより戦後の横浜と言えば、BSプレミアムで同じ時間に黒澤明監督の『天国と地獄』が・・・、チャンネルを回すと、ちょうど捜査会議のシーンの途中で、名古屋章の刑事が報告している。ついつい、最後まで見てしまった。

この映画をちゃんと見たのは、大学院生の頃。今はない大井武蔵野館で日活アクションばかり見ていた私の映画の偏食を心配した食いしん坊の師匠が、レンタルビデオ屋で借りてきてくれて一緒に見た。まさに映画の教科書である。その後映画館で何度も見たし、今はDVDも持っている。

今見ると、いわゆる黒澤組以上に、当時の新劇の若手が目白押しに出ているのが目に付く。準主役の仲代達矢、山崎努はじめ、加藤武、北村和夫、金子信雄、名古屋章、小池朝雄、梅野泰靖、常田富士男、大滝秀治、そして腰越の魚市場の熊倉一雄。仲代と山崎以外は皆死んじゃったなあ(訂正、梅野泰靖は健在)。

今日見るまで、最後の三船と山崎の接見のシーンの魅力が分からなかった。ラジオから「オーソレミオ」のメロディが流れるなか、山崎の犯人が捕まって(「貴様はこれで死刑だ」)、それでエンドマークでもいいくらいだと思っていた。しかし、今日はそうは思わない。それはたぶん、P.アンドラ『黒澤明の羅生門』(2019,新潮社)という本を読んだせいだ。それにしても、三船が実に繊細な演技をしているなあ。

実は、この夏休みに、長年温めてきたアイデアを『羅生門』をマクラにしつつ論文にまとめようとしている。そのせいもあって、頭が熱くなり、寝られなくなって、このブログを書いている。

 

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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