いつまでも大人になれない、お子ちゃまオヤジ。恐竜とか戦艦といったテレビ番組につい釣られてしまう。BS1スペシャル「幻の巨大空母『信濃』」、大和に武蔵、柳の下の3匹目のドジョウなのに、また釣られてしまった。
でも、なるほどと思うこともいくつかあった。幻の空母というので、深夜に雷撃で沈められ、生存者も少ないものと思い込んでいたが、約2000人の乗組員のうち半分は生還したという。生還者(皆二十歳未満の少年兵)が何人も証言映像に出ていた。フィリピンのスリガオ海峡で手も足も出ずに撃沈され、ほとんど生還者がいなかった老朽戦艦扶桑や山城とは大違いだ。幻というのは、軍令部がなかったことにした(軍人や官僚の得意技)、という意味だったのだ。
もう1つは、なぜ同型艦もなく、艦隊として運用しづらいこの艦をあえて造ったか。何と、正規の空母部隊の前面に単独で進出し、後方の正規部隊から攻撃対象まで往来する航空隊の中継基地の役割を想定していたという。その際、戦艦大和と同型の船体が巨大で装甲も重厚なので、不沈であるという前提だったそうだ。荒唐無稽な前提、これも軍人や官僚の得意技である。実際は装甲が手作業のリベット打ちで、魚雷の衝撃ですぐにずれてしまい、たちまち浸水ということで、技術立国日本の底が知れる結果だった。
そういえば、昔「不沈空母」なんて言葉を使っていた海軍経験のある総理大臣がいたなあ。彼の脳裏に、この現実の「不沈空母」があったなら、それはブラックジョークでしかなかったなあ。
それよりも、最近米軍の垂直離発着機の中継基地化しつつある自衛艦があるなあ。さすがに「しなの」という名前ではないけれど、軍人さんの発想は、75年経っても変わらないんだね。
後で考えてみると、200人くらいで動かしている駆逐艦3隻で1000人助けたわけだから(積みきれん)、後世称賛されるべきは護衛の駆逐艦隊だ。もちろん雪風入り。