マカロンその後:ナゴヤ洋菓子の実力を再認識する

下りの東海道新幹線が名古屋駅に近づく頃、海側の車窓に青いコック帽子のデザインの『名古屋ふらんす』という看板を見たことがある方は少なくないのではないか。先便にも書いたように、私は名古屋の洋菓子をあまり買っておらず、結果自分で作るようになったくらいだから、この看板も長く見過ごしてきた。ところが連れ合いが、カフェがあるそうだから行ってみない?と言うので、お付き合いで行ってみた。

長久手市という名古屋の郊外で一番元気な町と、尾張旭市という郊外で一番古株の町の境目にそのカフェはあった。名古屋らしいボリュームのあるランチも食べられるが、他所から来る人にゼッタイオススメというほどではない。むしろより面白いのは、工場も併設した売り場の方である。生ケーキもあるけれど、商品の基本はブッセのような「名古屋ふらんす」を中心に、マカロン、ダッコワース、フィナンシェなど焼き菓子の詰め合わせだ。和菓子の『亀屋芳広』と同じ、お使いものに重点を置いた店なのだ。それにしてもブッセ、マカロン、ダッコワースとは変わった品揃えだな・・・と思って、帰ってからウェブで調べてみると、実はアーモンドプードルとメレンゲで作る洋菓子を得意とし、全国の洋菓子店から委託製造を請け負う菓子工場が、創業30周年を記念して自社ブランド化したものだそうだ。あ、その工場覚えている。日進市(これも名古屋の郊外の元気な町)の田んぼの中にあった。道理で、マカロンの質が高いわけだ。たぶん委託元の希望に沿って、それこそイスパハンでも何でも自在に作れるにちがいない。

実は名古屋には、こうした製造が主で、得意分野があり、販売は後からといった洋菓子店が結構ある。まるでアイシンやデンソーのようだ。『ベーシックは美味しい』の店のように、あらゆるものがトップである洋菓子店こそ、というのは私の偏見で、こうした店々が日本の洋菓子文化を支えてきたのにちがいない。反省しきりである。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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