連字符社会学の逆襲:最近の講義ノートから

わが学部の社会学科の入門科目に「社会学への招待」というのがあって、毎回1人ずつ専任教員の社会学者が自分の専門や関心を話すことになっている。私は社会政策科学科の所属なので関係ないのだが、まあ、お手伝いで毎年都市社会学や地域社会学の話をしてきた。ただ、都市社会学は田嶋淳子先生や堀川三郎先生、地域社会学は池田寛二先生や樋口明彦先生というようにその道の大家がいらっしゃるので、正直話すことがほとんどない。そこで、今年度はちょっとイカレタ話をしてみることにした。題して「連字符社会学の逆襲」。

ストーリーは単純で、第二次世界大戦後、大学における社会学のポストの増大と、社会問題の多様化に連れて家族社会学、地域社会学といった「〇〇社会学」、連字符(ハイフン)社会学が発展、肥大してきたが、最近あまり振るわないように見える。21世紀になって命脈が尽きたか、それとも何かパッとした未来があるのかといった話。東大出版会が出した3つの講座もの企画、50年代の黄表紙の講座、70年代の緑表紙の講座、90年代の白表紙の講座を見せながら話すつもり。

準備をしていて気づいたことをいくつか。1つは連字符社会学という言葉が誰の創作なのか知らなかったが、ウィキペディアにはマンハイムの言葉だと書いてある。不勉強者の勉強。もう1つは、20世紀の連字符社会学はずっと理論社会学というダースベーダーの圧制の下にあったな、という追憶。あちらは同じ〇〇社会学でも、富永社会学というように王の名の冠である。中筋社会学なんて何百年経っても言われないだろうし、言われたくないです。でも、よい知識って最終的にはアノニマスなものではないか。

さらに1つ、最初このアイデアを思いついたときは発展、肥大の方にウェイトを置いていたので、そしてそれを司ったのがこのブログで前に書いた「福武・日高の正義の帝国」だったので、「(帝国の)逆襲(strike back)」という題にしたのだが、考えていくうちに、やはり身びいきになって、「(連字符社会学の)帰還(return) 」といった中身になってしまった。うちの分野だとオビワン有賀喜左衛門、ヨーダ鈴木栄太郎みたいな。

さて、参考文献はどうしよう。やはり富永健一『社会学講義』(中公新書)かなあ。富永先生も天国で苦笑いされるにちがいない。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
カテゴリー: 私の仕事 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください