怪我の功名:「連字符社会学の逆襲」続き

前便で「連字符社会学」がK.マンハイムの言葉だということを知らなかったと恥を記したが、気になって調べてみたら恥の上塗り、昔読んだ「社会学の現代的課題」(1932)の基本概念だった。

昔この論文を読んだのは、私の師匠の師匠の福武直に同名の本があるからで、しかし読んでみたら、あまり関係がないような気がして(正確に言うと、問題意識は同じだが、現代の意味が戦間期のドイツと敗戦直後の日本ではまったく異なる)、そのまま忘れてしまっていた。

しかし、調べてみてよかった。ウェブでヒットしたのは、久冨善之先生の論文「ペダゴジーの社会学と学校知識・学校秩序」(2000)で、「連字符社会学」の話はホンのマクラなのだけれど、さすが久冨先生、マンハイムの用法を正確に理解された上でマクラに使われている。

マンハイムの用法は、教育学や宗教学のようにもともと部分的、専門的知識として完成された知に対して、その社会的根拠を問い直すために教育社会学や宗教社会学があるというもので、単に対象領域を指すのではない、深い意味を含む。久冨先生はそれを踏まえて、教育学への批判的営為として教育社会学を構想されるのである。ここまでくると、来週の私の講義の結論の1つ、政策学批判としての社会学、とほぼ重なる。

一橋大学でながく教育社会学を講じられた久冨先生は、私にとってはイトコ弟子(またはイトコちがい弟子)にあたるわけだが、学会などでお話ししたことは1、2回しかない。こんなところで学恩を受けようとは。これこそは私たちの世界ならではの恵みの1つである。

 

 

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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