人生最大の失敗とは:カラヴァッジョ「ゴリアテの首を持つダビデ」を見ながら

NHKBS『ガイロク』という番組、「人生最大の失敗」というテーマで街頭インタビューしていた。私の「人生最大の失敗」って何だろう?ふと思い出したのは子どもの頃のこと。仲良しの友だちが習いごとを始めるという。剣道教室に行くという。僕も、と母にねだったら、なぜか妹を連れて、バスに乗ってピアノ教室に行くことになった。小学校に上がったらおもちゃでなく本物のピアノを買ってあげる、に惑わされてそのまま通ったが、あのとき「嫌だ」と言わなかったのが人生最大の失敗かも。なぜなら、その後ずっとその繰り返し・・・。

友だちと一緒に剣道教室に通っていたらよかったのか、分からない。その友だちにとってもうれしかったかどうか分からない。ただ、あそこの分かれ道が、友だちと、というより自分の人生の最初で最大の分かれ道だったような気がしてならない。

カラヴァッジョの傑作、「ゴリアテの首を持つダビデ」は、大人のゴリアテの首も少年ダビデの顔も画家の自画像で、だから、失敗した大人の私を可能性いっぱいだった少年の私が怒りとともに断罪している絵、という解釈がある。しかし老いた私は、若い私のすべてを怒りとともに断罪したい。

 

カラヴァッジョ展

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
カテゴリー: 私の心情と論理, 見聞録 パーマリンク

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