社会調査法における「アテネの学堂」

社会人大学院で社会調査法の入門講義を担当して16年目になる。最初は計量系だけだったが、途中から非計量系も合わせて担当している。毎年始まる度に、ちゃんと勉強して1つの完成した講義、1つの論文にしたいと思っていることがある。それは林知己夫の「数量化Ⅲ類」と川喜田二郎の「KJ法」の比較だ。計量系で「数量化Ⅲ類」、非計量系で「KJ法」にそれぞれ触れるのだが、本当は両者の考え方に共通する「質」のようなものを見出してみたい。それは大雑把には「似ていること」の直感的把握ではないか。1918年生まれの林、1920年生まれの川喜田。未来のない戦争の中で彼らはどう生きて、どう考えたのか。ラファエロの名画「アテネの学堂」のプラトンとアリストテレスのように、二人は近代的社会調査法の最奥に屹立している。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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1 Response to 社会調査法における「アテネの学堂」

  1. 中筋 直哉 のコメント:

    高橋正樹の紹介する林知己夫本人へのインタビューでは、林は川喜田のKJ方は自分の数量化Ⅳ類に相当し、「関連性からものをみていく」という発想は近いが方法としての構築の仕方は異なると評し、それは学問的背景のちがいによるものと推測している(高橋正樹,2012,「数量化の発想と考え方:調査者としての語りから」『社会と調査』9:21)。

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