「アッツ島玉砕」の持ち主

名古屋市美術館で藤田嗣治の「アッツ島玉砕」を見た。学生時代に竹橋の近代美術館で見て以来約30年ぶりである。前は気づかなかったが、今回掲示に驚いた。「無期限貸与」とある。てっきり国に献納され、そのまま近代美術館の所蔵となったと思っていた。日本語の掲示には貸し主は記していないが、英語表記には「合衆国」と記してあった。WEB上の国立美術館の所蔵リストには1970年に合衆国より無期限貸与と書かれているが、貸与品ではなく所蔵品として扱われているようだ。何か嘘くさい。美術史家の間では常識の部類なのだろうが、たぶん他の戦争画と一緒に戦利品として奪われたのだろう。そして戦後四半世紀たって(安保自動延長の年に)、返還ではなく無期限貸与されたのだろう。あの絵の持ち主はアメリカなのだ。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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1 Response to 「アッツ島玉砕」の持ち主

  1. 中筋 直哉 のコメント:

    この絵をはじめて見たのは、子どもの頃家にあった『毎日グラフ』だったと思う。戦争画について勉強として教えられたのは、『ちびっこわにの冒険』の司修先生の『戦争と美術』(岩波新書)だったと思う。

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