尊敬する先輩たち2:故藤田弘夫先生

雑誌の査読を依頼される。どうコメントすればよいか、いつも悩む。私の最初の査読者は昨年亡くなられた藤田弘夫先生だった。歴史上のできごとに社会運動理論を無理矢理当てはめたような内容に、両者の乖離が致命的であるとの辛辣なコメント。アワを喰った私は、指導教授に泣きついた。教授曰く「できる範囲で直せばいいんだよ」。できないのにな・・・。それから何年か経って、私はとてもできないような仕事を頼まれて途方に暮れ、藤田先生に相談に乗ってもらった。まだ日吉のキャンパスにいらっしゃって、相談のあと夕食をごちそうしてくださった。最後にお目にかかったのは、私の大学で学会の会合を開いたとき。廊下ですれちがったのに、私は痩せられた先生を見分けられず、あいさつできなかった。さびしく思われたかもしれない。先生のような都市社会学に出合うことは二度とないかもしれない。思い立って何冊か都市社会学の本をまとめ読みしながら、ふとそう思う。ちなみに藤田先生とは同郷で、父祖の地も近いのです。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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