いちばん「都市らしい」と感じる場所:期末試験の模範解答

山下祐介氏的地域社会学から落ちこぼれて(それはそれで1つの世界ではあろうが)、「地域社会学」という題目で都市社会学の話をしている。今期の期末試験が終わり、約200枚の答案の採点も終わった。自由記述問題を1つ出したが、それは「あなた自身がいちばん『都市らしい』と感じる場所を1つあげて、なぜそう感じるのか説明しなさい」というものだ。正解があるわけではない。講義から離れて想像力を広げてほしいのだ。

しかし自由というのはくせもので、なかなか自由には考えられないものである。まず流行に囚われてしまう。前はニューヨークと書く人はほとんどいなかったが、今年は多い。トランプ氏さまさまだ。あるいは秋葉原と書かずに渋谷と書く。別の機会に読んだ学生のリポートには「渋谷は終わった」と書いてあったが、ハロウィンの聖地として復活。

次に自分の限られた生活世界に囚われてしまう。生まれ故郷の地方都市を書いている人が多い。私も地方都市神戸の出身だが、自分の故郷が「いちばん都市らしい」とは思わない。小さな港町である。面白かったのは、横浜と書いた人が多かったことだ。みなとみらいが都市らしさの中心だという。講義でも取り上げた故田村明先生が聞けば、泣いてよろこぶよ、きっと。これも講義で取り上げた、ゆずの「君は東京」という曲。東京ではなく横浜がいい、いう感じがよく出ていると思う。私は好きになれないが。

さらに先生の言ったことに囚われてしまう。私が銀座とかお台場を挙げたからって、空気読まなくていいですよ。銀座、行かないでしょう。私も長いこと行っていない。東興園のシュウマイ、美味しかったな。燗酒をおかわりすると、お女将さん(高橋とよが演じた)、「お好きなんですね」と多めに入れてくれたな。

一番高評価の解答は、あるアニメに出てくる宇宙船の船内というものだ。もちろんそのアニメを見たことはないが、解答通りなら、その船内はまさしく都市である。

では、お前の模範解答は、と問われれば、どちらも行ったことないけれど、現実のエルサレムと、ヨハネ黙示録の「新しいエルサレム」。12の門から入れなくても。見るだけは見てみたい。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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