私の東京みやげ:東京駅では買いません

都心で仕事が終わったら即新幹線で帰ることが多いが(ネット予約で時間繰り上げ可能)、ちょっと気が向くときは、日本橋高島屋の地下に寄ってお決まりのみやげを買う。

まず「アルカン」で「ポワラーヌ」の田舎パン4分の1。毎週水曜にパリから空輸されるこのパン以上に美味しいパンを私は知らない。まあ超老舗という点で、川端道喜のちまきみたいなものか。学生時代、食いしん坊の師匠とパリの本店に行ったら、田舎から来た観光客が田舎パンを大量に買っていて、おかしかった。

次に「美味百選」で西浅草のロシア料理店「ストロバヤ」のピロシキ。この店も食いしん坊の師匠直伝。西浅草のラブホテル街にあるので、ちょっとデートには微妙。しかし、ここの親父さんはほんとうの料理の天才だと思う。人ができないことをやる天才ではなく、誰もがやることを誰にもできないくらいの質の高さでやる天才だ。どの料理もどこがどうというわけでもないのに、ものすごく美味しい。家に持って帰って、私はレンジでチンではなく、オーブンで油が滲み出るまで焼いて食べる。

さらに「オー・ボン・ヴュータン」で「ケーク・アングレ」(フルーツケーキ)。昔師匠が東京で2番目に美味しいケーキ屋と教えてくれたことを思い出す。が、このブログで何度も書いたように私はこちらが1番。この間自分で焼いてみたら、やはり月とスッポンだった。中のコンフィがまったく敵わない。一度ふと生ケーキを買って帰ったことがある。まだ寒い時期だったので、新幹線の暖房で傷むのが気にはなったが。それはあの2011年3月11日のことだった。新横浜停車中に揺れ、名古屋には6時間遅れでついた。いよいよ帰れなくなったら、このケーキで飢えをしのぐしかないかな、などと車中で考えていた。

これは日本橋高島屋ではないが、新宿の京王百貨店には金沢の「森八」が入っていて、私が一番好きな和菓子はここの落雁の「長生殿」なのだが、羊羹もいけるので、みやげにすることが多い。「森八」の何代か前のお嬢さんは、私の祖母と金沢の高等女学校で友だちだったそうだ。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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