読書ノート」カテゴリーアーカイブ

天職について:松本俊彦『誰がために医者はいる』を読む

アカデミックな専門家を看板にメディアで活躍する人は多いが、話をまじめに聞こうと思う人は私には少ない。スポットライトへの嫉妬もあるし、紋切り型の物語の語り手でしかないことへのいら立ちもある。そのなかで、いつも耳を傾ける同世 … 続きを読む

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社会学とは難しいものだね:奥井智之『宗教社会学』(2021,東大出版会)を読む

表題は、林恵海が若い同僚である(というか、退官した林を天下りさせて、その下に仕えさせるために福武が先に東京女子大に送り込んだ)わが師蓮見音彦に語った言葉である。蓮見先生は自分が退官間際になって、生涯地味な研究者だった林の … 続きを読む

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何とも言えない変な思い出:木下順二をめぐって

24日朝日書評欄に、保阪正康による山本武利『検閲官』(新潮新書)の書評が載っていて、『夕鶴』の木下順二がGHQ検閲官として働いていたという山本の推測に触れている。私は『近代日本の新聞読者層』(法政大学出版局)以来山本を尊 … 続きを読む

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天行健:近衞文麿という人への興味

「天行健、君子以自彊不息」、『易経』の卦の1つだそうである。 野口昭子『回想の野口晴哉 朴葉の下駄』(2006,ちくま文庫)に、夫晴哉に言われて父近衞文麿に「天行健」と書いてもらう話が出てくる。1945年7月敗戦のひと月 … 続きを読む

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様々なる意匠:書架の片隅から昔の本を

新学期が始まって1年間放ったらかしだった研究室の書架を眺めてみる。前から再読したく思っていた本が目にとまる。『小林秀雄初期文芸論集』(1980,岩波文庫)、もちろん中学生が買うわけもなく、大学院生時代に買った1993年の … 続きを読む

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ちょっと(というにはやや重い)いい話

癌で瀕死の和田夏十が野口晴哉に訊ねた。「先生、整体で元気になるには何年かかりますか」。野口は答えた「20年」。和田はガッカリした「20年も・・・」。 しかし帰り道和田は気づいた。「私あと20年は生きられるんだ」。 依存さ … 続きを読む

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思いつきと思い出の果てに:佐藤康宏氏の警句に触発されて

『UP』580号の連載「日本美術史不案内」で、美術史家の佐藤康宏氏が「思いつきと思い出しか書けなくなった人間には、研究者を名乗る資格はない」という警句を掲げられていて、膝を打った。まさにブログやSNS上の私そのものである … 続きを読む

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迷宮としてのイエ社会:新聞連載小説に触発されて

朝日朝刊、池澤夏樹の連載小説『また会う日まで』がクライマックスを迎えている。昨日の連載第118回で彼の父の出生の秘密が明らかにされた。連載当初は興味を引かれなかったが、最近急に面白くなってきた、というか作者の筆に重みが出 … 続きを読む

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中古典とは言えないが:けっこう面白い古本

たまたま研究の途上で知って公共図書館で借りて読んでみたら面白かったので、「日本の古本屋」で探したら状態のよいものを安く入手できた。有沢広巳・玉野井芳郎編『近代日本を考える』(1973,東経選書)。喜寿記念企画であろう有沢 … 続きを読む

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長い墓標の列 続

先便で「図書館で借りて読もう」と記した福田善之「長い墓標の列」(『現代日本戯曲大系4』1971,三一書房)を借りてきた。ついでに登場人物のモデルの1人である木村健康の回想録『東大 嵐の中の四十年』(1970,春秋社)も借 … 続きを読む

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