テキトー社会調査法2:福武直『社会調査』(1958,岩波書店)のキモ

どれほど多くの社会学者がこの本で社会調査を学んだのだろう。いや、社会調査はするもので学ぶものではないよ、という人も昔は多かったに違いない。

私としてはこの本のキモは写真の通り、90~91ページの社会調査の予算表である(私の手元のは安田三郎、原純輔による「補訂版」(1984)なので、初版からあったかどうか、今は確かめられない)。こうしたことが楽々とでき、また知識として公開できるところが皇帝福武の人柄ではなかったろうか。

いわゆる福武グループ、私が入れてもらった頃には蓮見・似田貝グループと呼ばれていたが、大きな科研費の予算をたくさんの研究者に割り振り、粛々と研究を進めていた。中にいると当たり前に思うのだが、北川隆吉先生のところなど、外の研究グループに武者修行に出てみると全然レベルが違うのである。そして中にいるうちに、だんだん私はその運営をやがて担わなければならなくなるだろうと思うようになった。しかし幸いなことに、故郷の災害がその不幸から私を逃れさせてくれた、似田貝先生が震災研究に専心され、グループは自然消滅した。元来私の柄ではない。

それに、私が大学院生の頃は周囲のほとんど誰も計量的社会調査に見向きもしなかったのに、気づくとみんな何かの計量的社会調査を科研費を使ってやっている。それだけではない。社会調査法の教科書まで書いている。私だけが何もやっていない。神の偉大なるご計画、と唸らざるを得ない。

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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