ケーキ屋に領収書を書かせる土地柄:新装開店のケーキ屋にならぶ

近所のケーキ屋が2ヶ月ほど病気休業していて、再開するというので開店セールの行列に並んでみた。痩せた茶髪でイケメンの主人はピエール・エルメを尊敬しているらしく、ルセット本が店内に飾ってあり、レパートリーもその思いがこもっていたので好感を持っていたのだが、新装開店の店に彼の姿はなく、レパートリーも全く違うものになっていた。どうも別の人に譲ったらしい。よく見ると店の名前も値段も1段格落ちしていた。

並んでいると、ナゴヤならではの風景を見ることになる。クルマを店の前に止め、10個も20個も買いあさり、挙げ句に領収書を書かせる。ケータイで近所の有名な中華料理店Hに「予約の時間より遅れるから」と大声で電話。3世代2家族くらいでランチらしい。コロナってどこの国のこと?

昔ナゴヤに越してきたばかりの頃、こことは別のケーキ屋で、前のお爺さんの客が「孫の誕生日でね」とケーキを買っていて微笑ましく思っていたら、「じゃ、領収書書いといて」と言うのでズッこけた記憶がある。孫の誕生日は経費じゃないだろう。それ以来、この土地にケーキ屋は育たないというのが私の独断的持論で、しょうがないので自分で焼いてきたのである。

 

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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