ハゲオヤジ万歳!:ソ連の陽気なハゲオヤジたち

憂愁のイケメンと3人の陽気なハゲオヤジ。クラシックファンなら知らぬ者のない名盤、ベートーヴェンの三重協奏曲のジャケット。イケメンは言うまでもなく帝王カラヤン。ハゲオヤジたちはソ連の貴重な輸出品、オイストラフ、リヒテル、ロストロポーヴィチである。実はこの中で一番年上なのはカラヤンで、オイストラフは同じ年の後の生まれ。

この間ETVの『クラシック音楽館』で久しぶりにカラヤンとバーンスタインを見て、つくづく20世紀後半はイケメンの時代だったなと思ったのである。これが前半だとフルトヴェングラーもトスカニーニもハゲオヤジ。クライスラーはイケメンだがカザルスはハゲオヤジ。しかしこうしてみると、陽気なハゲオヤジたち、なかなかいいではないか。実際にはリハーサルでオイストラフとリヒテルが大げんかして、お人好しのロストロポーヴィチが一所懸命に取りなして何とか収まったが、その間カラヤンはじっと待っていたそうである。

本当に今回話したいのは、本来カラヤンの代わりに3人の前にいるべきもう1人のソ連ハゲオヤジ、ゲンナジー・ロジェジェストヴェンスキー(ロジェストヴェンスキーのようが言いやすいが)のことである。ソ連時代に珍しくよく日本に来てくれる輸出品で、私も何度かラジオで聴いた記憶があるし、その愛嬌ある指揮ぶりをテレビで見たこともある。シュニトケはじめソ連系の現代音楽の初演者はほとんど彼だったのではないか。私は3人と同世代だと思っていたが、ロストロポーヴィチより若かった。

最近亡くなっていたのを知らなかった。あらためてYou tube で見直すと、その指揮の面白さに引き込まれる。ああ、こういう風に授業をしたいものだな。こうだよって短く指示して、後どうしたかは学生に任せてしまう。奥まった眼窩から常に睨みつけるムラヴィンスキーが隅々まで緊張感を張り巡らすのとは逆の、音楽が自由に踊り広がっていく感じ。その真ん中に陽気なハゲオヤジがいる。

ハゲオヤジ万歳!

https://www.youtube.com/watch?v=nAqECHb3eXw

中筋 直哉 について

法政大学社会学部教授。1966年神戸市生まれ。
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ハゲオヤジ万歳!:ソ連の陽気なハゲオヤジたち への2件のフィードバック

  1. かほう鳥 のコメント:

     こんにちは、かほう鳥です。私も先日の放送に挑んでみましたが,10分程で他局へ。目的は両指揮者の名前と顔を一致させたいというだけでしたから。子は”クラシック?テラピー?”と。私”カラヤンかバーンスタインだよ。どっちか分からない。” ”普通、食後だよね。あ、貼るやつ?” 悪くもないなと笑うと”世界の小澤を知ってたらなんとかなるしぃ”と。 なるほど。
     音楽なら、出囃子。‘観客‘がノッテくるのがいいなあ。

  2. 中筋 直哉 のコメント:

    あはは、かほう鳥さん、その通りですね。他の方からもクラシック鑑賞はインテリ男性のオモチャと言われました。

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